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子育て世代が語る、「山江村でよかった」 隣町から移住し、山江村で子育てをしている宮原明子さん。移住して感じたことを満足そうに話してくれました。
山江村は子育てしやすい村。宮原さんは、移住して三年経った今そのことを実感しています。
「隣町の人吉市に住んでいた頃、軽い気持ちで山江村の住宅展示場に見に行ったんです。
そこで初めて、子どもができたし家を建てたいねって夫と考えるようになりました」
宮原さんにとって山江村は知らない土地でしたが、新しい家は住んでいた人吉市と隣接した地域。
それほど不便でないし、土地も安い。総合的に見ても理想の場所だったそう。
山江村に住み始めてしばらくして第二子を出産し、行政が主催する「子育てサロン」に参加します。 このサロンを通して母親どうしのつながりができたそうです。 「小さなお子さんを持ったお母さんが対象の集まりで、子育ての相談に乗ってくれたり、絵本の読み聞かせをしてくれたり。 子どもの身長・体重も測ってくれます。今は子どもも大きくなったので参加していませんが、 当時知り合ったお母さんたちとは今も会えばお喋りする仲です。もともと山江村に知り合いがいなかったので、 このような場所で顔見知りもできてホッとしました」
また、手続きなどで役場に行った際には、職員の対応に感動したとのこと。「役場に入ってキョロキョロしていると、いつも誰かが笑顔で声をかけてくれて丁寧に説明してくれます。どこに行けばいいのか、わからないときもあるので非常にありがたいです。夫のお店に、全国各地に出張している営業マンの常連さんがいるんですが、『山江村は日本一行政の対応がいい』と話してました。やっぱりそうなんだ、と感じましたね」
来年には小学校に入学する娘さんもおり、教育に関しては期待しかないと言います。「先日就学前検診で娘と学校に行ってお話を聞きました。学力が日本一になり、他県の学校が見学に来るほど注目されているそうです。非常に楽しみです」
当初は山江村がここまで子育てに力を入れているとは知らなかったそうですが、人吉市より小さな山江村に移住することに不安はなかったのでしょうか。「不安は全くなかったです。私は小さいコミュニテイの方が、行き届いたサービスを受けられるので安心します。例えば山江村で子どもの検診を受ける場合、受診している人数が少ないのでゆっくり担当の方と話せる余裕がありますよね。そこで自分が最近不安に感じていることなど、些細なことでも雑談を交えながら相談できます」さらに、コミュニティも小さいため隣近所とも顔見知り。子どもがもう少し大きくなり、外で子どもだけで遊ぶようになっても、地域の人が声をかけてくれるのは安心とのこと。家族が増え、ふとしたことがきっかけで移住を決めた宮原さん一家。人とのつながりや行政からのサービス、教育水準の高さは予想以上のものでした。インタビューを終えた宮原さんの表情はとても満足そう。
ICT教育を導入し、 全国平均を大幅に上回る学力 地方の子どもの可能性を狭めない学習機会を提供したいと、山江村ではICT(情報通信技術)を導入した教育に力を入れています。現在、村内の各学校に無線LANを配備し、各学級に電子黒板を1台配置。タブレット型パソコンも、小学校3・4 年生は4人に1台、小学校5・6年生は1人1台、中学生には学校用と家庭学習用に1人2台与えています。
ICTの導入を打ち出しているものの、大切にしているのはアナログな学習方法と、デジタルな学習方法との融合です。 デジタルな学習方法は、今まで不可能だった学びを実現。理科では実験の様子をタブレットで録画して繰り返し観て考察することができ、 体育ではマット運動などで撮影した自分の運動の様子を後から振り返ることができます。 一方で、アナログな学習方法は個人の学びを深めるのに有効。 電子黒板は次から次に画面が切り替わるため、情報が残りません。 そこで、しっかりノートに残してほしいものは黒板にまとめていつでも目に入るようにします。 自分の中で考えを巡らせるのも、タブレットよりノートの方が効果的です。
小学校の社会科の授業を見学したところ、課題に対してグループでまとめた意見をタブレットから電子黒板に配信し、クラス全員がそれぞれ考えていることを把握できるようになっていました。
このようなスピーディな情報共有により、子どもたちがグループ内討論で自分の意見を発言する参加型授業の時間が増加。
授業に興味を示す子どもたちの表情は生き生きとしていました。
山江村の教育効果は数値にも表れています。グラフは2013年に全国の小学6年生を対象に行われた学力調査の結果です。
このテストが子どもたちのすべての学力を表しているわけではありませんが、どの科目でも全国平均を大きく上回り、知識を活用して自分で考える力が身についていると言えます。
村内にある小学校の1つ、山田小学校。こちらで子どもたちに指導している2人の先生にインタビューしました。ICTの導入による先生方の取り組みや子どもたちの反応とは
古賀先生 : 私が赴任したときにはすでにICTが導入されていたので、聞いた話にはなるのですが、当初はまだ全国的にもICT教育の成功実績が少ない状況だったようです。ですので、タブレットや学習ソフトなどが徐々に入ってくる度に私たち教員も実際に使ってみて、慣れながら進めていったのだと思います
古賀先生 : タブレットをもの珍しく触りたいというだけの興味は子どもたちには長くは続かず、次第に機器を使って人に何かを伝えることに面白みを感じていくようになります。言葉だけでは説明しにくいことも、『ここがね』と示すことで友達にもうまく伝えられますよね
西口先生 : 機器を使って試行錯誤するようになり、一問一答ではなく粘り強く考える癖がついたかと思います
古賀先生 : スマートフォンを日頃から使い慣れているので、タブレットも器用に使いこなしている子どもが多いです。それに、直接画面に書ける機能もあるので、タイピングで差が出るような授業は行わないようにしています
西口先生 : もちろんタイピングが苦手な子どもには、個別指導でその差を支援します。
古賀先生 : 整った学習規律は山田小学校の伝統です。しっかりした上級生を下級生が手本にして受け継いでます
西口先生 : ICTは1つの道具であって、学ぶすべての土台は学習規律になります。黒板を見てほしいときに、手元でタブレットをいじられていたら教育効果がないからですね
西口先生 : 子どもたちの素直で活発なところが山田小学校の魅力です。村自体が教育に情熱を注いでハード面を整えてくださるので、このように人が育っているのだとも感じます
スポーツを通して地域づくり、人づくり
山江村では子どもたちの体力づくりにも、地域住民が携わっています。今年で6年目を迎える地域のスポーツクラブ「わいわいクリスポやまえ」。 バドミントンの指導をしている横山さんは大学卒業後に熊本市内に就職し、31歳で地元である山江村に帰ってきました。
「20年以上前ですが、村で廃棄処分されていたボンネットバスを動かして、村を活気づけようという動きがテレビ放送されてたんですね。その放送を観たときに私の父も映っていて、自分も地域づくりをやりたいと地元に帰りました」 その後、中学校で部活動に入る前の受け皿にならないかと、小学生を対象としたバドミントンクラブを自主的に始めます。その際に国から、各地域でのスポーツを推進する「総合型地域スポーツクラブ育成モデル事業」の話があり、「わいわいクリスポやまえ」へと発展したとのこと。現在、バドミントンの他に野球やサッカー、空手などのスポーツに100人近い子どもたちが励んでいます。
横山さんの他にバドミントンを指導しているのは、3名のコーチ。どうやったら子どもにうまく教えられるか、コーチに指導しているのも横山さんです。その様子は真剣そのもの。 「6年経ってみて、子どもの育成はもちろんですが、指導者を育成することが重要だと気付きました。地域づくりは人づくりにつながります。 先日、小学生の作文の中で『将来はクリスポやまえの指導者になりたい』と書かれているものがあったんですね。 10年後や20年後、その子たちが指導者になってくれると思えば、やりがいもあります」 最後に「わいわいクリスポやまえ」の今後の目標を聞いたところ、横山さんは力強く次のように話してくれました。 「これは私の夢なんですけど、オリンピック選手を山江村から出したい。実は今から52年前の東京オリンピックの水泳に 選手として山江村の方が出られていたんです。それ以来、村からオリンピック選手が出ていないので、今指導している子どもたちが今後出場できればと思ってます」
行政も、住民のみなさんも
地域ぐるみで子育て
山江村には地域住民にとって自慢の2つの川があります。山岳地帯に源を発し、日本三大急流の1つに数えられる球磨川の支流、万江川(24km)と山田川(12km)です。 万江川は九州有数の清流で、多くのホタルを鑑賞可能。毎年2月にはホタルに詳しい講師を招いての講義もあります。 また、万江川下流の「吐合河川敷広場」は足場が整備されています。 夏場でも朝は寒いほど涼しく、川遊びやバーベキュー、キャンプなどを楽しむ家族連れで賑わいます。 浅瀬もあるので、小さいお子さんを遊ばせることもできます。
山江村に住めば、手厚い行政支援がこんなにあるんです。実際に生活する上で非常に助かると、お母さんたちから大好評!
2008〜2012年の山江村の平均合計特殊出生率は2.00で全国24位を記録しました。
※合計特殊出生率……一人の女性が一生に産む子どもの数
3年以上引き続き村内に居住する保護者に対し、子どもが生まれた際に出産祝い金を支給。子ども一人につき5万円となっています
乳幼児と保護者のため、週に一度開かれる交流の場。保育の専門家が子どもの遊び方を教え、子育てに関する相談にも乗ってくれます。村の住民は参加費無料
6歳未満の乳幼児を持つ世帯主に対して、チャイルドシートの購入費用の1/2以内を補助します(1万円の上限があります)
小・中学校では給食費が要りません。さらに、給食は校内の給食室でつくられており、地元の食材を用いた地産地消にも取り組んでいます
放課後や長期休業中に、学習塾の講師を村に招いて村営学習塾を開催しています。中学1〜3年生が対象で、参加費は無料
赤ちゃんから高校生までは、医療費がかかりません。子どもの病気の早期治療を促し、健康を守るためのサポートです
小学校3年生までの子どもが病気で、保護者が勤務等の都合で育児を行うことができない場合に利用することができます
村内の小学校に就学する子どもを持つ家庭には、入学祝い金として子ども一人につき3万円が行政から支給されます